インドなう

インド市場で奮闘する日々やインドに関する情報をゆるーく発信しています。

インドシフトの感想・まとめ

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以前Facebookで投稿し、そこそこ反応が大きかったものをブログに再掲載するが、SONY Indiaで10年間社長やっていた武鑓さんが最近出されたインド、特にバンガロール周りのテクノロジー環境について書かれている書籍。日本語でインドのスタートアップ・ベンチャー企業周りの環境を語っている書籍はこの本が初めてで、しかも情報が網羅されており、とてもいい本だと思う。バンガロール現地で事業やっている自分の経験を踏まえて長めのコメントしておくので、IT界隈を中心に興味ある方は書店で手に取ってみてください。というか、切実にみんな、バンガロールに来て欲しいと思っている日々。

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【他国企業のバンガロールの立ち位置と国内スタートアップ周りの数字】
シリコンバレーの訪問経験がある日本人は多くいるけど、バンガロールを訪問したことのある日本人は少ない。一方でシリコンバレーの企業を始めとする多くのグローバル企業が第二拠点として置いているのがバンガロールで、その理由は圧倒的な数のハイスペックIT人材がバンガロールに集まり、ビジネス環境としても超魅力的で、もはやバンガロールに拠点出さない理由が見当たらない位、重要性を増しているから。また、インド国内のスタートアップの数も急激に増えており、現在、アメリカ、イギリスに次ぐ世界3位(4800社)だが、驚くべきなのはその増加率で、2010年の480社と比較して、ここ6年で10倍に増えてきている。ユニコーンの数も10社で世界3位(1位アメリカ:107、2位中国:56社、4位イギリス:9社)で、ユニコーン予備軍が50社ほど。なぜ、イケてる人材や企業が集まり、ユニコーンを始めとする超成長スタートアップ・ベンチャーが出ているかというと、インド国内のIT企業周りの環境変化に起因する。

 

【事業内容の変化、それに伴う国内人材の活動拠点の変化】
・インドのITセクターは、Y2K問題(2000年問題)以降にシリコンバレーを始めとするグローバル企業からのアウトソーシングで伸びてきた歴史があるが、20年もの間、世界の最先端受託を受け続けた結果、ノウハウが溜まりに溜まって、現在ではビッグデータ・IoT・ブロックチェーン・AIを屈指しながらのR&D開発、新規事業開発、グローバルイノベーション戦略に加え、先進国では出来ない”リバースイノベーション”がインド国内で行える環境が整っている。一昔前のイケてるインド人は、アメリカかヨーロッパのTop Universyへの進学をし、国外でグローバルエリートのキャリアゴールや自身のサービス開発をしようとしていたが、現在はインド国内、特にバンガロールに世界最先端の情報がいち早く集まり(英語出来るから)、サービス開発も行えるし、世界のグローバル企業も揃いインドでキャリア形成できるし、国が豊かになってきて所得面でも魅力的になってきたので、インド国内に留まるケースが急激に増えている。

 

【労働環境】
・働く環境に関して、バンガロールには「Tech Park」と呼ばれるIT企業やグローバル企業の集積地帯が30ヶ所近くあり、そこの敷地内は綺麗で巨大なビル群が立ち並び、清潔さも担保されている。200エーカー以上(東京ドーム18個分)の敷地面積のTech Parkもあり、イメージとしてはParkというよりも街に近い。そういう綺麗でイケてる環境を、ここ20年間で着実に整えてきた。また、標高920m、年間を通しての気温が25-32度で変わらず、街全体が木や植物の割合が非常に高く、インド国内でバンガロールはダントツで住みやすい。こういった自然環境の面も、世界中のグローバル企業が拠点を置いたり、優秀人材が集まる上で重要な役割を担っている。シリコンバレー同様、イノベーションを生むエコシステムの設計・形成だけでなく、優秀人材が集まる仕掛けを国や州政府も含め全力で行ってきた結果、世界で見ても稀なイノベーション拠点へと発展を遂げてきた。

 

【人材採用周り】
・今やMITやハーバードを蹴って進学する人もいるほどのレベルになっているIIT(インド工科大学)。そのIITを始めとするインドのトップ大学の人材獲得のために、世界中のトップ企業は大学との連携を取りながら入念に準備して、キャンパスリクルーティングを行っている。LGやSAMSUNG百度などの韓国・中国勢なんかもIITの学生を年間で1000人規模で採用している力の入れ様。仮にIITの学生が獲得できなくても、インドでは理工学大学の卒業生が毎年100万人以上で、20万人がIT業界に入っており(日本の理工学大学の新卒者は10万人)、現在も大学進学率が上がってきている(インド人の大学進学率はまだ20-30%前後)ので、今後の伸びも期待される。

・また、中途を含めたインド国内の現在のIT人材数は300万人で、このうち100万人がバンガロールに集まっており、それが2020年には200万人まで増え、シリコンバレーのIT人材数を超えることが確実とされている。これだけの高度IT人材を格安で大量に採用出来る都市は世界中でバンガロール以外にありえない。ちなみに、インドのITエンジニアの年収は、IITとかの人材はエグすぎるので超高額採用なんだが、新卒70-80万円くらいで、中途も200-300万円くらいあれば、だいぶいい人材が採用出来る。新卒でも中途でも、高度IT技術を有するIT人材が大量にプールしており、彼らに触れるだけの目的でバンガロール含むインドを訪れてもお釣りが出ると思う。

 

【インドの影響だいぶ大きい中で日本の現状】
・国外に関しても、MicrosoftGoogleAdobe systemsNOKIAOracle、Harverd MBA, Chicago MBAなどのトップはインド人(移民ではなく、皆、インド国内の大学の卒業生)で、アメリカ大手IT企業の経営陣では必ず1,2人、ミドルマネージャークラスではインド人がいない企業を探すのが難しく、それほどインド人の影響力は大きく、今後のグローバルビジネスはインド人抜きには考えられない。世界のスタートアップやIT企業が重要視し、モディ首相も経済支援政策で日本企業の優遇していて、明らかに他国よりもリスク少ないのに、バンガロールにある日系IT企業は10企業あるかどうかというのは、日本生まれ日本育ちとして悲しいし寂しいし悔しい。

インドのエンジェル投資家(Flipkart, Paytm, Ola)

今回は、インドのユニコーン企業の創業者たちが、スタートアップ企業へのエンジェル投資家としても積極的だという内容。細かいグラフなどは、リンク先の記事を確認して頂ければと思います。


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Flipkart、Paytm、Olaの創業者たちはエンジェル投資家として、初期段階のスタートアップ投資に熱くなっている。この背景にあるのが、Indian Angel Networkのような投資家とスタートアップを結びつけるネットワークやプラットフォームの出現にある。大企業の経営者やVCのパートナー、財閥企業のメンバーもエンジェル投資家だが、スタートアップ企業に人気なのは、ナレッジシェアが出来るスタートアップフェイズを経験した経営者だ。その中でもユニコーンとなっている企業の創業者はインド市場で引っ張りだこで、それ故、エンジェル投資家になりやすい背景がある。今回はユニコーン企業の中でも、Flipkart、Paytm、Olaの創業者たちを見てみる。

 

・Flipcart:Sachin BansalとBinny Bansal

・Paytm:Vijay Shekhar Sharma

・Ola:Bhavish AggarwalとAnkit Bhati

 

Flipcart, Paytm, Ola創業者のエンジェル投資数

彼らはみんな、スタートアップへのエンジェル投資家で、シリーズAに投資をしている。彼らだけで、54個のスタートアップに投資をしている。投資時期に関しては「自分たちの会社が大きな資金調達を行った後」に、投資の領域に関しては、「多岐に渡ること」が特徴的だ。まだこれらのエンジェル投資家から成功している事例は現れていないが、これからも動向をチェックしていこう。

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